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痛みとは何か? その7 痛みの可塑性

前回は慢性痛に至るメカニズムについてお話ししました。

今回はそれをもうすこし突っ込んでみます。

タイトルに「可塑性(かそせい)」という難しい言葉を使いました。可塑性というのはもともとは固体の性質を意味する用語です。

たとえばバネは伸ばしても元に戻ります。この変形しても元に戻ろうとする性質を弾性と呼びます。

ところがバネに限界以上の力を加えると伸びたまま元に戻らなくなりますよね。元の形に戻らなくなる性質を塑性(可塑性)と呼びます。

では、痛みの可塑性とはどういう意味でしょうか?

これは愛知医科大学医学部の「痛み学寄付口座」というところで次の様に説明されています。

「脳に向かって、長時間、持続して痛みの信号が送られると、一種の記憶として信号が神経路に残り、痛みの原因がなくなったあとも、痛みの信号を送り続けることがある。これを『痛みの可塑性』という」

バネが力を無くすと元の長さにもどるように、痛みもその原因がなくなると元の状態に戻る=痛くなくなるというのが通常の反応です。ところが伸ばしすぎたバネが元の長さに戻らないように、持続的に痛みを受け続けた脳は痛いという感覚が元に戻らなくなってしまうのです。

そして、悪いことに心理的・感情的な要因がこの現象に拍車を掛けます。

つまり、過度な不安や恐怖といった感情があると痛みの可塑性が増強され、ちょっとした痛みを激痛と感じたり、ケガが治った後も痛みがなくならないといった現象を引き起こすわけです。

このように慢性痛とよばれる状態になると、もう単純に痛い場所に何かするだけでは解決できない状態になってしまいます。なかなか慢性痛の方が症状がよくならない原因はこういうところにもあるのですね。

では、次回でこの「痛みとは何か?」シリーズの総まとめをしたいと思います。

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